
右の画(クリックで拡大)はこの物語が展開される舞台となる海豹船ゴースト号。二本マストのスクーナー。帆船の取り扱い方の勉強にもなる。
海豹船ではオットセイを狩猟するのに小型ボートを使う。天候が急変すると小型ボートは転覆してしまうので急いで本船に回収するのだが、そのためには本船は強風下で停船しなくてはならない。これを「ヒービング・ツー」と言うが描写が圧巻。暴風下一刻を争うためにスクーナーはセールを全開にして驀進、ボートを見つけるや風上側で下手急旋回ジャイブをして船首を風上に立て、メンスルをいっぱいに絞り同時にジブを風上側に張って裏風を受けさせて固定する。舵はラフいっぱいの位置で縛る。本船はこれで見事に停船し、ボートの方向にゆっくり寄っていくのだ。小型艇でやるのはともかく、大型スクーナーではたいへんな作業。昔の船乗りは尊敬するな〜。
このページ(防衛大ヨット部マニュアル)に「ヒービング・ツー」の原理が解説されている。英文学を読むにはこの手の知識は必須条件なのである。
狼ラーセン船長は、けっこう学があって聖書の「伝道の書」なんかを暗唱する。おいらは信心深くないのだが、この「伝道の書(コレヘトの言葉)」というのは般若信教や悪人往生みたいでなかなかいけますね。気に入った。
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